ITに関わりつつ、和歌山のような地方の産業について考えていると「デジタル化が遅れている」という表現をよく聞く。そもそもの話として「デジタル化が遅れている」とはどういう状況なのか。「アナログな業務を行っている」と聞いても、僕がそれを聞いて思うのは「アナログがいい時もあるし、何でもかんでもデジタルにすればいいというわけではないから一概になんとも言えんなあ」と思ったりする。
そんなことを思いながらとある本を読んだ。その感想をここに書いてみる。
- デジタル化が遅れてるというかなんというか
- なぜ、デジタル化は難しいのだろう
- デジタルデータの保存ではなく、業務フローの構築
- 中小企業向けのデジタル化のノウハウは世に少ない
- ソフトウェアの導入ではなく、システムの導入
読んでいたのはこの本である。
デジタル化が遅れてるというかなんというか
この本の著者は、ITコンサルタントをしているらしい。その著者の会社に問い合わせがある人の状態を聞いて驚いた。流石に全部転記は良くないので抜粋するが、以下のような話が書かれていた。
- 伝票から表計算ソフトに入力する仕事を繰り返している
- ファイルサーバーがあってもデータは共有されていない
- ネットワークにつながっていてもマシンに入ってるソフトウェアが違い、バージョンも違う
- 受注処理が紙で行われていて、原本も紙で管理されている
- 顧客からの問い合わせは担当者間で担当者間で相談してから答える
この本はいつ出版されたんだっけ。2023年9月。なるほど。
なぜ、デジタル化は難しいのだろう
なぜ、デジタル化は難しいのだろう。少し考えながら本を読んでいると、デジタル化の難しさが少し理解できた気がした。
読み進めていると、そもそもの話として、私は自分の業務をデジタル化できている気がしていたが、できていない部分も多数あるように見えてきた。
例えば、GitHubのリポジトリにpushしたら自動でCIが実行され、テストやLintが走る。というのは業務がシステムになっている一つの例ではある。開発フローは自動化されている部分があるが、そのほかの部分はどうだろう。
確かにデジタルで様々なデータを記録しているが、そのデータは複数のアプリケーションやサービスに点在している。それにアプリケーション間のデータがシームレスに連携していない部分はあるし、それは業務がデジタル化してない状態であると言える。
デジタルデータの保存ではなく、業務フローの構築
この本で述べられている「業務のデジタル化」で重要なのは、データにより業務が流れていくことのように見えている。例えば、誰かがどこかにデータを入力すると、別の人の元にデータが届いて新しい業務がスタートする、という状況。
そして、SaaSが一部の業務でそのような構造を実現しているのはみた事があるし、大企業のシステムでそのような状態になっているのもみたことはある。システム開発やWebサービスを開発している身としては、そのように特定のイベントをもとに何かしらの処理やタスクを実行する仕組みを作った経験は多数ある。
しかし、それを全ての中小企業でも同じようにシステムを作るのは現実的だろうか、と思ってしまったりもする。さて、どうするといいのだろうか。
中小企業向けのデジタル化のノウハウは世に少ない
デジタル化について調べていたり考えていると、「そりゃ大企業だと業務フローを書いて、それをシステムにすればスケールメリットが出やすい。しかし、中小企業だとどうだろう?人の数は少なかったりするし、顧客も多様でそれに対応するために色んなフローがあったりするよな」と持ったりする。そもそも、中小企業向けのデジタル化情報って少ないのでは?と思ったりもする。
中小企業向けのデジタル化情報については書籍の中で以下のように指摘されている。
「日本のIT業界は、大手ITベンダーの開発プロジェクトに中小ITベンダーが下請けとして参加する、もしくは人材派遣で人を出す、ということが多い基本構造になっています。中小企業向けをメインとしているITベンダーは少数派で、当然、事例もあまり公表されておらず、参考になる情報が見当たらないのです。」 —『会社を正しくデジタル化する方法 アナログな会社を劇的に変える 中小企業のための』鈴木純二著 https://a.co/jiPwDq6
確かに中小企業向けのITベンダーの事例を私はあまり知らない。(知らないだけで実際はたくさんあるのかもしれない)だからこの本を読んでいるのはある。
ソフトウェアの導入ではなく、システムの導入
ソフトウェアとシステムの境界が曖昧になっていると思っている業界の人は多いような気がするし、私はそこを曖昧にするのは良くないと思っている。この本の中でもその問題について指摘していた。そしてソフトウェアとシステムを明確に区別するように話もしている。
例えば、以下のような話が出ている。
「システム化は人とソフトの業務分担にまで踏み込んだ検討を伴いますので、当然組織や業務の「改革レベルのメリット」を生み出します。」 —『会社を正しくデジタル化する方法 アナログな会社を劇的に変える 中小企業のための』鈴木純二著 https://a.co/3OkILfV
ここでいうシステムは人が何をやるかまで含めた業務フローの話をしていて、ソフトウェアは、ITツールの話をしている。
私は、ソフトウェアやサービスを作れる人でありつつ、システムを作れる人でもありたいと思っている。また、今は中小企業を中心に何か貢献できることはないだろうかと考えている。というのよ故郷への貢献を考えて色々調べていると、インパクトを考えるなら、地域そのもの、もしくは地域の中の特定業界に貢献する方向を考えることになり、和歌山は中小企業がほとんどなので、中小企業についてより考えている状況になっている。
そんなこんなで色々考えている。
今日はここまで。
ではでは