10/8の技術書典5にサークル主として参加してきました。 多少なり興味を持ってくれている人がいると勝手に思っているので、今回は、その話をしたいと思います。
これは誰向けの記事か
この記事は、以下のような人が気になりそうな情報を書いてます。適宜目次を見て飛ばしてください。
- 技術書典に行ってないけど、私を知っている人
- 技術書典に行ったけど、私のところは見てない人
- 技術書典で私のところの同人誌を買ってくれた人
- 次の技術書典で本を書こうと思っている人
- とりあえず、流れ着いた人
技術書典とは
このページを見ている人の多くはご存知だと思いますが、技術書典は、技術書の同人誌即売会です。
技術書典5は1日のイベントでしたが、約10341人が集まったとのことです。
これにて #技術書典 閉会します。ご来場、誠にありがとうございました。総来場者数は のべ10341人、うちサークル・スタッフ等関係者は889人でした。
— 技術書典公式アカウント (@techbookfest) 2018年10月8日
前回が、6000人くらい。前々回が3000人くらいとのことなので、どんどん大きくなってる即売会、とのこと。
前回は入場するのに、当日配布される入場整理券を受け取ってから1時間ほどが必要でした。今回は、会場が広くなったので、比較的スムーズに入れたようです。(僕は、開始時に中にいたので、ツイッターを見て入手した情報)
知らない方はここをみると良いかもしれません。
はじめてサークル主として参加した
僕は今回サークル主として参加しました。要は本を書いて持って行って当日売っていたということです。
同人イベントにサークルとして行ったのは初めてです。
そもそも、即売会に行った経験も少なくて、人生ではじめて行った即売会は、去年のM3でした。
当時の感想は、以下に書いています。これが同人の世界にはじめて触れた瞬間だったように思います。
あ、違う。よく考えたら友達が買ってた東方のサントラを聞いてたり、大学の研究室で同人が好きな人がいたので、実際には同人の世界にはもう少し前の段階で触れていました。
はい。
で前回の技術書典4には一般参加者として参加しました。
それで、やっぱり同人イベントは、出展してる人が主役だよなー自分もなんか出したいなーと思いました。
というわけで、サークルとして応募して、本を執筆しました。
どんな本を書いたか
プログラマーとして働いている中で自分がしていたアンチパターンな行動とそれらの行動の理由やその行動について、今思うことを紹介した本を書きました。
技術書典でいうとこちらがサークル紹介のリンクになります。
コンセプト
実際にこのコンセプト通りに書けたかどうかはまだわかりませんが、僕が書きたいと思っていた本のコンセプトは3つあります。
- 実際の自分の経験を抽象化したエピソード
- 学びたいと思った人が一人で効率的に学べる
- 読んだ人の個人の力が上がる本
執筆中は、このコンセプトにあう内容になるように意識して進めました。
対象読者
対象読者は、ITエンジニアです。
一言でITエンジニアと言っても、熟練度が違うと思います。
ただ、今回は、初学者から中級者、ベテランまで、みんなに価値があるような形を目指しました。
どれくらい売れたのか
めっちゃ売れた
当日は、188部売りました。予定していた数の完売です。(200冊印刷して、色々考えて手元に12冊確保したので。)
11時にオープンしたのですが、12:15に売り切れました。だいたい1分に2~3冊売れました。
同人イベントというと「〇〇本です!よろしくお願いします!」みたいなことを言いながら、呼び込みをすると僕は思っていたのですが、売ってる最中は、「良かったら見本誌をどうぞ」「1000円になります」「すいません、現金のみになります」「ありがとうございます」「(めっちゃ売れる、どうしよう、ゆっくり話せない)」くらいしか声を出してませんでした。
まあそれは冗談でもう少し色々しゃべってますが、どちらにしても自分の予想を遥かに超えるスピードで売れました。個人的には興味を持ってくれた人と話をしたかったのですが、「ゆっくり話すことなく、どんどん売れて売り切れてしまった。」という状況になりました。
参考:被チェック数について
技術書典には、「チェックリスト」という機能があります。
気になったサークルにチェックを入れておいて、それを一覧で見ることができます。 まあ、一般参加者の人が使うブックマークみたいなものです。
でリアルタイムで自分のサークルについているチェックの数がわかります。
このチェック数なのですが、当日が終わる頃には410になってました。初めての出展だったし、一人で参加しているし、でまさかこんなにチェックがつくとは思ってませんでした。
デザイナー氏とと「ここでしか買えない感」「ネットで見つけるのが難しい情報」「誰向けの本かわかりやすい」とかが良かったのかなあ、とか話をしました。
どうやって書いたか
どうやって書いたのか、という話が興味ある人はいると思います。 むしろ半年前の僕なら気になります。
序盤
初めの方の話はここに書いてます。基本は、執筆する前の企画の話です。
上記の記事には、あんまり詳しく書いてませんが、今振り返ると以下のような点が良かったと思いました。
- 最終的に自分が表現したいことを最初にまとめておいたのが良かった。
- 自分が書いている本は、誰にどう見えて欲しくて、どういう価値を感じて欲しいか、そのために何が必要か、を最初に整理したのが良かった。
本記事に書いた対象読者やコンセプトに関係がありますが、上記の二つは執筆中の拠り所になります。
執筆中、特に一人での執筆中は「僕は何を書いてるんだっけ」「全部が微妙に見える」「終わりが見えない」「何を書けばいいのかわからない」みたいな状態になりました。そんな時、これらを見直すことで、自分が何をしていて、書いている文章や構造に何が足りないのか、を考えることができました。
こういう話を最初の段階で整理してなかったら、途中でしんどくなってやめてしまったか、よくわからない状態で出さざるを得ない状態になったんだろうと思ってます。(過去の個人の創作で経験あり)
中盤
途中はここら辺に書いてます。基本は、文章の流れや目次の構造を考える段階でした。
この段階でやっていたことは、以下のようなことです。
- タイトルを考える
- 主張を明確にする
- 文章を殴り書きする
- 参考文献を調べる
- 目次の構造を変える
この辺りでは、ネタを出して文章を殴り書きしつつ、本を買って調べたりしました。 そして、可能な限り間違ったことを言わないように気をつけながら主張を整理していきました。 また、その中で、分量や粒度に偏りが出てくるので、最初に考えたコンセプトとか対象読者の人が、どうやったら読みやすいか、というのを考えて、目次のリファクタリングを繰り返しました。
あと、この段階で友人のデザイナー氏を巻き込んで表紙を依頼しました。僕の抽象的なイメージだけ伝えて、「こういうのを表現するいい感じの表紙が欲しい」という丸投げをしました。(きちんと代金は払っています)
終盤
中盤から仕上げのあたりは、できあがった目次に対して文章を埋めて、埋めた文章をレビューしてブラッシュアップするのを繰り返す工程でした。
この辺りになると結構文章を書くのが辛くなってきます。というか一人でずっと同じ文章を見ているので、なんかよくわからなくなってきます。あと、前に進んでるのか戻ってるのかもよくわからなくなってきます。
そんな時、企画の時に書いた最終イメージを元に今進んでるのかどうかを考えていました。
あと、エディタ上で文章を編集していると同じ場所をずっと編集してしまって、前の方は質が上がっていくのに後ろの方は全然修正されない状況になります。というかそういう状況になって、前の方ばかり修正してしまう罠にはまりました。
それの対策として僕の場合、殴り書きしたものを紙に印刷して、それに自分で赤ペンを入れてました。その後、赤ペンの指摘をPC上で反映して、再度印刷して赤ペンを入れる。という流れにしました。
この方法をとると、同じ箇所に対してできる指摘がスペース的な問題で限られるので、自分の目が全体に渡ります。俯瞰的にも見れるし、印刷した版に日付を入れておけば、前に進んでいることを実感できます。
あと、この方法をとって、印刷したものをいつもの喫茶店で赤ペンいれてたら隣に座った漫画家(業界歴20年)の方に添削してもらえるという特殊なイベントも発生しました。
いつもの喫茶店で書いてる同人誌に赤ペンいれてたら、知らないおじさんに話しかけられた。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年9月22日
驚きながらも話してたら、なぜかレビューしてくれることになって、色々アドバイスをもらえた。特に表現周りで。
途中で、そのおじさんは業界歴20年の漫画家とのことがわかって面白かった。#mtb_beta執筆
妻やデザイナー氏にもレビューを手伝ってもらって、どんどん文章がわかりやすくなっていきました。
入稿
そして、入稿した話はこのあたりに書いてます。
非常に感慨深い気持ちになりました。
入稿するために印刷所に向かう電車なう。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年9月25日
今まで味わったことのない気分を味わってる。
入稿した後
入稿直後は、チェック数が86でした。本当に何人の人が買ってくれるのかわからなくて、200でも在庫になるんだろうなと思ってました。
#技術書典
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年9月30日
定期報告。
私のところの被チェック数は現在、86です。
IT実務のアンチパターンという本を出す予定です。
IT実務の経験が少ない人や経験が少ない人の上司になる人にオススメできる本です。https://t.co/llUlUBohIl
入稿できたことを受けて、締め切りがあるから、ひとまず本にできたな。ということをかみしめたりしました。
技術書典向けに本を書くことで、締め切りがあるとそれに向けて計画を作れるということがわかった。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月4日
同人活動では締め切りは大切。
個人でやってて締め切りがないと無限に気になるところが出て来て終わらないけど、締め切りがあると、そこまでに何ができるか、を考えることになる。
入稿した後は、ブースを作るために100円均一に行きました。
土日になったので、 #技術書典 のブースに必要なものを買いに行こうと思っている。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月6日
100斤に行くぞー
当日が近づくにつれて被チェック数が伸びてきて、前日には被チェック数が200を超えました。
#技術書典 定期報告。10/7 11:43
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月7日
うちのサークルの被チェック数は、現在217です。
当日は物理本を200冊頒布する限りで、早い時間に売り切れそうです。熱意ある方は早めにお立ち寄りいただけると幸いです。 pic.twitter.com/Gw1QJrW5G7
とりあえず、連絡手段があれば後から再販するとか連絡できるだろうと思って、前日にconnpassグループを作って見ました。(現時点では、7名の方が参加してくれている。)
明日の #技術書典 で「IT実務のアンチパターン」という同人誌を出しますが、予測では来ていただいた方全員に頒布できません。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月7日
次の頒布予定が気になるかと思いましたので、connpassにグループを作りました。グループ登録してくれた方に、今後の頒布予定などを送付します。
https://t.co/W6VvSWIRGD
ついでの情報。実は、 #mtb_beta執筆タグ
のツイートが僕とデザイナー氏のいるSlackに流れるようになっていて、自分の進捗管理とか進捗共有にもなっている。
ちなみに #mtb_beta執筆 タグは、僕が執筆についてツイートするときにつけてるものです。全部はついてないですが。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月7日
気になる人がいたら辿ってみると面白いかも。
(というか僕が懐かしむのが1番の目的のタグです)
終わり
今回、一人で同人誌を執筆し始めて、色々考えてひとまず最後まで行けてよかったなあと思っています。
ありがたいことにツイッターで以下のような感想もいただくことができました。
@mtb_beta ff外ですが、アンチパターンの本読みました
— Tryforth (@tryforth) 2018年10月8日
表紙を見たとき一見PM寄りなのか思いきや、中身はエンジニア目線な所に親近感が沸き、自分の「あるあるw」に引っ掛かりまくりで最後まで楽しく読ませて頂きました
同人誌ならではのテーマとサイズ感だったので、続刊出るようなら期待しております
@mtb_beta
— いっしー (@isshi256) 2018年10月10日
現在、私の部署では新プロジェクトが始まろうとしているのですが
1つ1つの問題に対してスムーズに解決していけるよう努力しようと思うきっかけにもなりました!
素晴らしい書籍を執筆いただき、誠に有難うございました🙇♂️🙇♂️🙇♂️
そういえば、技術書典当日、売り切れた後にブースで見本誌を出していたら、見本誌を読んで感想をもらうことができました。
業界入りたての人には『私は、業界に入ったばっかりでわからないことも多いんですが、こういう本があるとすごく助かります』『思い当たる悩みがありました。家に持って帰ってゆっくり読みたいです。』などの感想をいただきました。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月8日
ベテランプログラマーの方々に、『わかる。私も経験あります。』とか『私はもうベテランになってきたので、若手にこういう話を教えてあげたいんですが、なかなか言葉にするのが難しいんですよね』というお言葉を頂いてる。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月8日
『漫画化するのも面白そう』『商用本でも読みたいクオリティです。』『再販の予定はいつですか?』『私も今、このアンチパターンにハマってます。』などのコメントをいただきました。
— matoba@充電中 (@mtb_beta) 2018年10月8日
技術書典5で買った物。mtbプロジェクト https://t.co/x3vDN8fPhz IT実務のアンチパターン プロジェクト計画編
— Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年10月13日
もくもく執筆会で見出しを見ながら好き勝手茶々を入れさせて頂いてたののリリース版。これは……すごいものを見た。商業本として立派に成立する内容だと思った。 pic.twitter.com/xzKQqGj1jG
ものすごく丁寧に書かれてて、情報価値が高い。駆け出しの人だけでなく、中堅くらいの人にも全然役に立つと思う。内容の質が高すぎて、細かい校正の甘さが逆に気になったほど(並の書き散らし同人誌だと、それ以前の話なのでそこまで気にすることが無い)。
— Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年10月13日
章ごとに決まった書き出しになっててリズムが作られてるとことか、ねえ、これ……プロの仕事ですよね!? ほんとこれはみんなに読んでほしい
— Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年10月13日
続編も超期待できる。要チェックや。
— Piro/Linuxコマンド操作漫画連載中 (@piro_or) 2018年10月13日
役にたつ本がかけたようでよかったなあと思っています。 また、少しずつ続編を書いていきたいなと思っています。後、再販を希望する話もあったので、それも検討していきたいと思ってます。もう少ししたら。
では、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。