技術書典7に出ます。 活動の報告と新刊の紹介をさせてください。
以下は新刊のポップです。
この記事の対象読者
次のような人向けに書いてます。
- 技術書典7に来る予定がある、もしくは興味があって、気になるサークルを探している人
- なんとなく僕の活動を気にかけてくれている人
- Twitterでふらっと僕の記事を見つけたので、読んでみようと思っている人
- 僕が過去に書いた2冊の同人誌を気に入っていて、新刊を気にかけてくれてる人
技術書典7について
まず、技術書典7は9/22の日曜日に開催されます。昨年は10月だったので少し早いですかね。
前回と同様、早い時間の入場料は有料になっています。後半は無料です。
今回、早い時間に来られる方は、Webで前売り券を買うと1000円になるようです。当日に会場で買うと2000円とのことなので、当日の早い時間に来る予定がある人はWebからかうと良さそうです。
出展サークルについて
今回、技術書典への出展サークルは600を超えているそうです。 その中に混ざって、僕も出展させてもらいます。 僕は足跡出版というサークルを出します。
このサークルはデザイナーの友人と二人で出ます。 僕としては、今回で3回目の参加になります。
そして、今回も新刊があります。3回連続参加で、新刊を一回も落とさず来れたのは嬉しいです。
新刊のタイトルは「デザイナーはどうやって作るか」です。 既刊の「IT実務のアンチパターン プロジェクト計画編」「IT実務のアンチパターン プコミュニケーション編」も持っていきます。こちらは、それぞれ3回目、2回目の増刷です。 現状、技術書典でしか頒布していないので、気になる方はお立ち寄りください。
以下は評判となります。
新刊の概要
さて、新刊の概要ですが、新刊はデザイナーの友人との共著になります。これまでに書いた2冊は、単著だったので、同人誌を共著で書くのは初めてになります。
この本はざっくりいうと、「デザイナーがどうやってデザインを作っているのか」ということについての疑問を消していく本になります。
この本の目的は、「デザイナーとデザイナー以外の人が協調して、より良いデザイン制作を行えるようになること」です。
新刊のコンセプト
今回の新刊は次の3つのコンセプトから成り立っています。
- エンジニアがデザイナーの考え方を理解する手がかりを増やすこと
- あるデザイナーの考え方を言語化すること
- デザイナーとエンジニアの協調を促進するこ と
ぱっと見は、なぜこのコンセプトで本を書いたのかわからないように思います。
なぜ、こんなコンセプトや目的で本を書いたのか、という話は次にします。
新刊制作の背景
僕も執筆・編集を進めながら感じた話の一つですが、デザイン制作は「エンジニアがどれだけデザイン制作に理解があるか」が最終的に出来上がるデザインの品質につながります。
そのような背景があってか、デザイナーをしている友人*1はデザイン制作の経験が少ない人に伝えたいことや説明したいことがあるようでした。
また、彼はデザイナーの友人も多いようなので、デザイン仲間とノウハウを共有し、デザイン業界をより盛り上げたい、ブラッシュアップしたい、という気持ちもあるように思います。
ただ、彼は一人で本としてまとめるのに四苦八苦していたと言う状況がありました。そんな状況も経て、僕は編集として声がかかりました。僕は編集長兼著者ということで参加しました。個人的には、別の本を書いていた途中でしたが、いろいろ考えたところ、まず、こっちをやる方がいいなと言うことで、受けました。
そして、僕と彼がともに目指せるゴールを模索し、出来上がったのが新刊です。
新刊が役に立つ読者
新刊は、どんどん必要な情報を積み上げていく形で執筆しています。 そして、ある程度積み上がってきたら、情報に価値が出るように編集を行いました。
その結果、新刊は、次のような人に役にたつ、もしくは何かのヒントがあるように編集を行っています。
デザイナーとデザイン制作を行う人
- デザイナーとのデザイン制作経験が少ない人
- デザイナーとのデザイン制作がなんかうまくいかない人
- デザイナーが迷惑な動き方をしているように感じるデザイナーの周囲の人
よりよりデザイン制作のヒントを見つけたい人
- デザイン制作の経験が少ない人に何を説明すべきかわからないデザイナー
- デザイン制作の経験が少なく、制作のヒントを見つけたいデザイナー
- 他のデザイナーがどんな風に考えてデザイン制作をしているかが気になるデザイナー
- デザイナーの作り方に対する理解を深めて、自分のものづくりを高めたい人
- デザイナーとエンジニアが作っているものがどう違うか、やそれにより動き方がどう変化しているか、を知りたい人
- 主観で評価される成果物を作っていて、ブラッシュアップに苦戦している人(同人誌、音楽、サービス・・・)
新刊制作の流れ
参考までに、新刊をどうやって作ったか。を紹介します。
個人的には、テーマより先に人が集まるパターンでの同人制作は、難しいと思っているので、まず一つ形にすることができたと言うのも、重要だと思っています。
今回の新刊は、以下のような流れで作っています。
- まず、執筆の成功イメージについて話し合う。共通ゴールができたら、それをコンセプトとして言語化する。これ以後、成功イメージや共通ゴール、コンセプトからブレていないのかは、随時検証していきます。
- 僕が(可能な限り)エンジニアとしての視点で疑問に思うことを共著者に質問していき、そこで得た気づきを説明していく。共著者が伝えたいことを書き出し、その中から重要なことを選抜し文章化する。それを僕がエンジニアの視点やデザイン経験が少ない人の視点から叩いて、文章品質を上げる。
- 僕が(可能な限り)エンジニアとしての視点で、デザイナーの非効率的に見える行動の理由について質問し、その気づきを文章化する。共著者がこれまでの経験上、勘違いされることが多かったことをを言語化し、文章化していく。これらを相互に叩き合って、品質を上げる。
- 共著者から見て、デザイナー仲間から評価されているデザイナーや、周囲の人から期待されることの多いデザイナーの特徴やマインドセットを言語化して整理する。それも、多くのデザイナーを知らずデザイン経験の少ない僕が理解できるようにひたすら叩いて、文章品質を上げる。
- そもそも、主観で判断されるデザイン成果物の評価にデザイナーはどうやって向き合っているか、の話を言語化して、叩いて文章品質を上げる。
- この辺で外部レビューを挟んで、主張の客観性をあげる。関連情報も調べていく。
- ここまでに議論の話を踏まえて、結局、何をすると良さそうかを整理して、デザイン制作での行動について提案を書き出す。そして、実際の新刊の表紙でドッグフーディングを行いながらブラッシュアップする。
- それまでの議論・提案を踏まえ、新刊の表紙をデザイン制作しつつ、過去の経験と統合して、教訓として抽象化する。それをアンチパターンやノウハウとして言語化する。
- 全体の用語や主張に可能な限り矛盾や語弊がないように、チェックを繰り返す。
いま思うこと
今回の執筆活動では、著者として文章を書くと言うことと、編集として本を仕上げることの二つを同時に進めていました。
実は、技術書典7に向けて、単著で書くことを検討していた本も一冊あったのですが、流石に初めてのことの並列性が高くなって、きつくなりました。現在、一旦そちらは保留にしました。
ちなみに、もう一冊の方のテーマは「完成させること」です。 「なぜ完成させるのは難しいのか」「どうすれば完成させることができるのか」などをヒアリングや調査、実践から情報をまとめています。そして、実は、今回の共著での執筆活動も、そこで考えてきたことの検証の一つでもあります。
現時点では、執筆した本は、もしかしたら我々の調査不足で、失礼なことが書いてあるかもしれないし、主観が強すぎて使えないような出来になっているかもしれません。
しかしながら、少なくとも僕と共著者にとっては、役に立つ本に出来上がっていて、「良いモノができてよかった」と思っています。 そのため、是非を本を手に取っていただき、「いやいや、君たちはこう言ってるけど、実はこう言うこともあるよ。」と言うツッコミをいただければ大変ありがたい次第となります。
今回の表紙デザインは著者共々で、良い感じになったと思っています。 デザインは思い入れの強い人が複数人で作ると、検討が難航することや、その時に大切になることは、きちんと自分たちが書いた本に含まれていました。 これもよかったことの一つです。
また、実は、表紙も裏表紙と合わせてデザインしています。 僕が単著として執筆した2冊の同人誌も、表紙と裏表紙を合わせてデザインしていて、会場に来て、今回の新刊がどんなデザインになっているかも見てもらえると嬉しいです。
何より、今回、執筆した新刊が誰かの役に立てば著者としては嬉しい限りです。
最後になりますが、サークルリンクは以下になります。
今回は、サークル数600を超えるため、1サークルを1分で見ても10時間になってしまいます。 そのため、事前チェックをしていない場合は、流し見するしかないと思います。 技術書典のWebサイトは、チェックリストというものを作成できますので、興味を持っていただいた方はチェックしていただくと当日に回りやすいかと思います。
では、また明日の技術書典でよろしくお願いします。
*1:ちなみに彼とは、10年以上の友人で、これまでに僕が制作した2冊の同人誌の表紙デザインは彼に依頼しています。