matobaの備忘録

和歌山と東京を往復しつつ活動するエンジニアの記録

光を当てて問題の存在を明らかにする本の話

少しずつ温かくなってきましたね。昨日、コートを着てお昼の買い出しに出たところ、少し汗をかきました。 今回は、「ライト、ついてますか」と言う本の話や学びのメモを公開します。

どの本の話?

この本です。

一冊まるごと「問題とは何か」について書いている本で、問題発見についての古典です。 ジェラルド・ワインバーグ氏の本で、日本語の訳書が出版されたのは1987年なので、少し古い本になります。 ただ、様々な場面で参考文献にあがっていたり、この本の話が役立つ場面にたびたび遭遇するのでここで紹介します。

購入のきっかけ

私がこの本を購入したのは、5年以上前の話です。 Amazonで購入したのですが、その記録を見ると、2015年に購入していました。

当時、システム開発が本当によくわからなくて辛いと思っており、いろんな本を読み漁っていました。 その中で、ジェラルド・ワインバーグ氏の「コンサルタントの秘密」に出会いました。 この「コンサルタントの秘密」があまりに面白くて、同じ著者の書いた別の本も読みたくなり、「ライト、ついてますか」を購入した流れでした。

ざっくり言うと、どんな本?

ざっくり言うと、この本は「問題」と言うキーワードが持つ色んな意味や色んな側面をエピソード形式で説明している本です。 「問題とは何か」「問題定義が正しいかわかるか」「問題はどこからきたのか」「誰の問題なのか」など、問題にまつわる小話がたくさん詰まっています。

ジェラルド・ワインバーグ氏の本は、基本的に具体的なイメージの湧くエピソードを使って抽象的な事柄を説明します。エピソードがたくさん出てくるので、ある程度流れに沿って読む必要はありますし、状況をイメージしながら読まないとなかなか理解できないかもしれません。

ただ、本当にたくさんの学びが得られる本です。

印象的な内容

キミの問題理解をおじゃんにする原因を三つ考えられないうちは

キミの問題理解をおじゃんにする原因を三つ考えられないうちは、キミはまだ問題を把握していない

P56に上記の文章があります。

「問題を理解するのは難しい」と言うことを説明する文脈で出てきた文章なのですが、三つという具体的な数が使われているのが印象的でした。

複雑な状況で問題を把握するにあたって、問題の前提となる情報はたくさんあって、その前提が崩れたら問題を把握できなくなります。 この文章を読んで、問題の把握というのはそれほど繊細で、前提となる情報に誤りがあれば、簡単に崩壊すると学べたりしました。

ライト、ついてますか?

本のタイトルになっている言葉でもあります。この言葉について具体的な説明が本の中にあります。 これは相手の課題認識を問う言葉です。

誰もが「一見当たり前に見える問題に自分で気づくことができず、言われることで問題に気づいた」と言う状況があると思います。 その原因は、不注意だったり、忘れていたり、確認を後回しにしていたり、、と色んなことが考えられますが、余裕があれば問題に気づける人に対して問題を指摘する際、言い方を間違えると余計な争いやトラブルに発展することがあります。

そう言う状況を避ける方法の学びとして「ライト、ついてますか?」と言う言葉があります。

この話については、ジェラルド・ワインバーグ氏の「コンサルタントの秘密」という本にもっとたくさんの知見があります。 興味がある人は、「ライト、ついてますか?」と合わせて「コンサルタントの秘密」も読むことをお勧めします。

われわれはそれを本当に解きたいか?

「ライト、ついてますか?」の中では、「われわれはそれを本当に解きたいか?」と言うタイトルで1部が割かれています。

少人数での活動やシンプルな活動の中では、この問いの効果を理解しにくいように思います。 しかし、状況が複雑になるほど、この問いはすごく強力になると思っています。

組織やプロジェクトの関係者が多くなり、状況が複雑になっていくほど、一見些細な問題がたくさん見つかります。 そして、見つけた問題全てを解いていると時間がなくなってしまうので、この問いが利用できます。

今でも些細な問題を解いてしまうことはあるので、簡単な話ではないと思うのですが、重要な話だと思います。 それがこの本の中に書かれています。

本の面白いところ

ここまで書いて、この本に出会った時のことを思い出した。

問題について深い洞察が得られる

システムが複雑になると、問題がなんなのかわからなくなります。 ここで言うシステムは、ソフトウェアやハードウェアだけではなくて、人間系も含んでいます。 「ピープルウェア」と言う言葉もありますが、人間によるシステムです。

このようなシステムを理解して適切に問題を解決していくためには、問題に関する深い洞察が必要です。

そんな話を学べる本は本当に少ないと思っていて、この本はその数少ない本の一つです。 ジェラルド・ワインバーグ氏は、IBMでプログラマーとしてOSを作っていた経歴がある方ですが、そのような経験に基づく知見なのだと思います。

複雑な組織で起きる問題の理解に役立つ

システムが複雑化すると、何と戦っているのかわからなくなることがあります。 問題だったことが問題じゃなくなったり、解決したことが再び現れたり。 こう言う状態は、仕組みや原因を理解せずに行動しているから起きるのですが、その状況に対する気づきが得られます。

もともと子もない話を書いている

この本、というかジェラルド・ワインバーグ氏の本でよくあることなのですが、「われわれはそれを本当に解きたいか?」とか「悩み必要のないことで悩むな」とか考えてみたら当たり前ですが、それを言われてたら話が終了するような言葉がたくさんあります。

潔いというか、個人的には結構好きではあります。

まとめ

今日は「ライト、ついてますか」と言う本を紹介しました。 問題というのは、どこに行ってもついてくるものですし、この本に書いてあることは色んなところで使える話だと思います。

気になった方は是非読んでみてください。

ではでは。